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不当廉売事件の調査方法

経済産業委員会(第177回国会) 第2号 平成23年3月9日(水曜日)(衆議院ウェブサイト)

経済産業委員会(第177回国会) 第2号 平成23年3月9日(水曜日)

○高市委員 安いところがあるということなんですが、昔懐かしいガソリン値下げ隊というのもありましたけれども、一方の系列のお店では高過ぎる、一方、かなりこういう高騰局面でも安く売れるところがある。この状態で系列店がどんどんつぶれてしまいますと、実際には寡占状態にどんどん近くなっていく。最終的には、消費者が被害をこうむる可能性もあるかと思います。
 私は、根本的な要因は、石油元売が系列店に販売していくということで正規の料金で出す系列玉と余った在庫を例えばブローカーを通じて安くPBなどに売っていく業転玉の価格差にあるんだと思います、根本は。
 それで、現在の値段なんですが、これは大体卸値でも販売価格でも同じぐらいなんですが、業転玉を扱っているPBと系列SSの間で十円以上にもなっている。こうすると、中小のSSにとっては絶望的な競争条件になってきている。また、主要元売が卸価格のフォーミュラを変更して、ブランド料というんですかね、そういったものも引き上げたということで、結構この系列SSの足を引っ張っている状況でございます。
 この石油元売によります差別対価ですとか優越的地位の濫用について、今大臣はしっかり見ていかなきゃいけないとおっしゃいましたけれども、適切な指導をしっかりしていただくという思いがおありでしょうか。もう一度確認させていただきます。

○海江田国務大臣 特に元売系列が、地域によってはSSが元売系列しかないところもありまして、今、元売系列が全般的に高いということがあって遠くの方へわざわざ行って、そういうのがつぶれるというようなことがあると、その地域でのSS、つまり、ガソリンの供給体系が大きく崩れるということもありますので、そういうことも含めまして、先ほどもお話をしましたけれども、公正取引委員会と連携をとってこの問題にはしっかりと対処していきたいという思いがございます。

○高市委員 ぜひとも中小のSSが公正な環境で競争できる流通経路をまずしっかりとつくっていくということで、割と根本的なところに切り込んでいかなきゃいけないことだと思うんですけれども、大臣御在任中に一度御検討いただければと思います。
 きょう、お忙しい中、公正取引委員長にもお出ましをいただいているかと思います。
 昨年一月に改正独禁法が施行されました。施行された当初は、今申し上げました系列SSの皆様も大変喜んで、期待をされていたんです。ですから、昨年の春ごろまでは、公正取引委員会に寄せられる積極的な不当廉売申告があったと思うんですけれども、SSの方々、私の知り合いに言わせると、公正取引委員会の事案処理が法改正前と余り変わらない対応だということで、だんだん期待感がしぼんできた、徐々に申告件数も減ってしまったと聞いております。
 それで、ちょっと申告件数を調べてみると、二十二年の一月、去年は八十件、二十三年の二月一件と、確かに非常に少なくなっている。ただ、今この高騰局面で、不当廉売との闘いで皆さん大変厳しい状況でございます。
 そこで、委員長にお伺いしたいんですが、こういう不当廉売事案に対する調査方法は、今は恐らく電話調査なんだろうと思うんですけれども、電話調査だけでは、仕入れ価格とか販売経費、こういったものの正確な確認はまず難しいだろう、ちゃんとバウチャーをとるとかしながら現地調査をしていかなきゃいけないんじゃないかと思うんですけれども、どうお考えでしょうか。

○竹島政府特別補佐人 ガソリンの不当廉売にかかわる申告に対してどういうふうに調査しているのかというお尋ねでございます。
 私も結構長い間今の仕事をさせていただいていて、その間、全国石油商業組合連合会等々の方々から、かなりの回数、いろいろ陳情なり申し入れなりを受けて、その中で、不当廉売とか差別対価で特に注意ということではなくて、もっと厳しいことをやってくれということをずっと頼まれているわけです。
 中には悪質な、悪質というのは、端的に申し上げますと、長い期間、仕入れ価格を割ってそのエリアのほかのSSをもつぶしてしまうような意図を持って廉売をするケースがないわけじゃない。現に公正取引委員会もそういうものについては命令を出して措置をしているわけですが、概して申し上げますと、そういうケースは極めて少ない。仕入れ価格ぎりぎりか、仕入れ価格についても、今先生おっしゃるように差があるわけでございます。そうしますと、結局、注意の範疇を超えて排除措置命令、したがって課徴金の対象になるというケースは、実際問題少ないというのが現状でございます。
 私どもが今やっていますのは、かなりの件数の申告がございますから、それに対して迅速に処理をする。不当廉売をやっているのに半年もかかって答えが出たんじゃ意味がないということで、我々は原則二カ月で処理をするということでやっております。
 その結果注意が出るわけですが、その場合の調査の仕方は、今委員がおっしゃったようなバウチャー、要するに帳簿なりをとるということではなくて、調査票を送って、これに書いてもらう。そうすると、我々は別途の情報もありますから、この書いてある仕入れ価格なり販売価格はどうもおかしいということはそれなりにわかりますので、そういう異常値が出てきた場合にはもう少し詳しい説明を求めるということはしておりますけれども、すべてについて帳簿を持っていらっしゃい、仕入れ価格は幾らであったかを証明する書類を持ってこいということは、やっていません。
 それは、立場を変えて考えると、ただ単にあそこの店が安いよという申告に基づいて強制的に企業秘密に当たる帳簿を持っていらっしゃいということについては、我々はそこは慎重にやっています。カルテルの場合でも何でもそうでございますが、単なるうわさとかその程度の材料によって強制調査をするということはないわけでございまして、相当問題があるということが我々なりにわかったときに、そういう企業秘密についても、強制調査権限を発動して、命令をして出してもらうということになります。
 注意に終わるようなケースの場合は、先ほど申し上げましたような強制調査権限に基づくものではなくて、調査票を出して、それに書いていただいて、それで判断して、その結果、二十一年度は九百五十六件の注意をしているということでございます。
 いずれにしても、私どもとしては、ガイドラインを改正したりして、元売自身が系列を差別していないか、自分の系列の特約店とそうじゃない特約店、それから、規模の大小によって合理的な差はしようがないですけれども、それを上回るような、それでは説明がつかないような価格でもって卸しているとか、それから、卸価格の決め方も、かつては一方的に決めて事後的に言い渡す、一方的に言い渡すということでありまして、両者の間でちゃんとした協議が行われていないというようなことはおかしいので、ちゃんと協議をしなさいと。その結果、エリア価格を基準にするのか、いわゆるRIM価格リンクと言っておりますが、規模の大きなものはそういう値決めになっておるんですけれども、それをするのか、それはちゃんと甲と乙の間で相談をして決めなさいということを指導しておりまして、そういうことについて守られているかどうかのフォローアップもいたしております。
 そういうことで、ただ単に安いからけしからぬというわけにはいきません。安いのは消費者のためになるわけでございますので、我々は、そういうものがむしろ推奨されるべきだと思っていますけれども、そうじゃない形の、本当の意味の不当廉売というものについては引き続き厳正に処理していきたい。
 繰り返しとか、非常に規模が大きい、影響が大きいというようなものは、せっかく認めていただきました不当廉売への課徴金の導入でございましたので、その発動については、積極的に、何らためらうことなく一生懸命やっていきたいと思っております。

○高市委員 夕べ、公正取引委員長に聞きたいことを四問か五問通告いたしましたら、大方まとめて答えてくださいました。これから聞くことも含めてお答えをいただいたんですけれども、ちょっと教えていただきたいのは、今、調査の結果、二カ月以内にということなんですが、大体一カ月以上、今一カ月とか一カ月半かかっているんじゃないかと思いますけれども、SSの方からすると、本当に週単位で卸値が上がる大変な競争の中にいるので、もう少し調査の結果が早く出ぬのかなというような感じもするんですけれども、これはいっぱいいっぱいでしょうか。

○竹島政府特別補佐人 結論的には、一生懸命やらせていただいているつもりでございまして、ほかに家電とかお酒、ビール類の不当廉売の問題もあるんですが、これは全部同じですが、原則二カ月ということでやらせていただいています。
 逆に、全部が全部その中にはまっているわけではございませんで、一カ月ぐらいで済んでいるのが大方だという実態でもないというふうに私は承知していますので、これからも努力はいたしますが、調べなきゃならぬものは調べなきゃいけませんし、申告に基づいてただ申告をされた側に不当廉売だというようなことを軽々に言えるわけでもありませんので、現状は、さらに努力はいたしますけれども、やむを得ないのかなと思っています。
 ただ、それでよしということじゃなくて、できるだけ努力はさせていただきたいと思っています。

○高市委員 昨年の一月から現在までで、排除措置命令が出たもの、それから課徴金になったものの件数は、今おわかりでしょうか。お答えください。

○竹島政府特別補佐人 排除措置命令は、直近、平成十九年度に二件出して以来、二十年度以降ございません。排除措置命令はありません。注意は、先ほど申し上げたようにたくさんありますけれども。それから、課徴金を命令したことは、まだありません。

○高市委員 注意を繰り返し繰り返し受けていても排除措置命令に至らない、当然、その結果課徴金にも至らない。こういったことで公正取引委員会の対応というのが甘過ぎるんじゃないかという声も上がっておりますけれども、注意というのは、どれぐらい、何度やれば次の段階に進んでいくんでしょうか。

○竹島政府特別補佐人 次の段階ということですが、軽いものが何回たまっても、それは強いものにはならぬだろうと思います。
 ただ、二十一年のガイドラインの見直しによって、注意が多い場合は社長を呼んで直接厳重に注意をするなり警告をするなりということに変えました。そういうことで、少しまじめに聞いていただけるようにやっていきたい。それから、影響が大きいようなものは、当然、課徴金ということを念頭に置いてきちっとこれからもやっていきたいと思っております。

○高市委員 石油販売だけじゃなくて、酒販、お酒の業界の方々も、お目にかかると、大変運用が甘いんじゃないかというようなお声も実は聞いております。
 この不当廉売の問題は、事業主体が減ることによって本当に最終的に消費者のためになる結果を招くのか、安ければいいというものじゃないんじゃないか、そういう思いもございますので、人手の問題もあるでしょうけれども、ぜひとも厳正に調査をしていただきたいと思います。
 一つお願いなんですけれども、平成十六年の九月に公正取引委員会流通実態調査というものが実施されましたけれども、例えばSSの問題だけを見ましても、石油元売の新仕切りの価格体系というものが導入されるなど、環境がかなり変わってきていますので、そろそろ時期的に再調査をしていただければと思うんですが、いかがでしょうか。

○竹島政府特別補佐人 私どもも、時々はそういう実態調査をしていかなきゃいかぬと思っていますが、今具体的にことしやるとかいう計画を持っているわけじゃございません。
 ただ、一つ御理解いただきたいのは、確かに、十六年に御指摘のような実態調査をやって、翌年十七年に元売に対して、十六年の実態調査の中で独禁法上こういう場合には問題になりますよということを指摘してあるわけです。そういうことについてきちんと元売が承知をして商売をやってほしいということを言ってあるという経緯がございまして、翌年の十七年にフォローアップ調査をもやっている。
 そういうことを踏まえて、二十一年十二月、一年ちょっと前でございますが、ガソリンの不当廉売のガイドラインを変えました。先ほどちょっと御紹介したように、価格決定方式はちゃんと甲と乙が決めてやりなさいとか、いろいろなことを盛り込んでありますので、私は実態調査をすることが必要ないとまでは申し上げませんが、より大事なのは、きちんとそういうことが守られているのかどうかをチェックすることの方が大事なのかなと。
 確かに、石油業界というのは、ちょっと珍しいというか特色のある業界だとつくづく私は思っていますので、独禁法上の問題があるかないかは、ほかの業界に比べてより重点的にウオッチしていかなきゃいけないと思っています。

○高市委員 ありがとうございました。
 公正取引委員会と経済産業省が連携をしながら本当に根本的な問題をどう解決していくか、公取の現場の実態もまた大臣に聞いていただきながら、ぜひとも中小の企業が成り立っていくように、また、田舎からどんどんガソリンスタンドがなくなっていく状況がなくなりますようにお願いをいたします。
 公取委員長におかれましては、お忙しいかと思いますので、御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。

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