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優越的地位濫用・取引拒絶等を理由とする仮処分申立

独占禁止法24条に基づく差止仮処分申立却下決定に対する抗告事件(東京高裁平22・9・1/平22(ラ)1259)(原審・東京地方裁判所平成22年(ヨ)第20023号)秋吉裁判官

申立人は一方的価格改訂を優越的地位濫用として、また発注停止を優越的地位濫用の実効手段として主張した模様

「確かに,本件減額要請は,本件取引に係る賃率を1時間当たり2400円から1600円に引き下げるもので,大幅な減額の要請であるということができる。
しかしながら,前記認定事実によれば,相手方は,コストダウンの目的で,抗告人に委託していた計測機器の製造について,これを中国へ移管することを検討していたことが認められ,したがって,国内での製造委託を継続することが可能であるか否かを検討するために,抗告人に大幅なコストダウンを求めることは,およそ不合理なものとはいえない。
そして,前記認定のとおり,本件取引終了後,抗告人に委託していた分の計測機器の製造について,F株式会社から1時間当たり1620円の費用で8人の人材派遣を得,また,G株式会社へ,賃率を1時間当たり1800円から2200円として,一部を委託して行ったこと,これらの取引の条件が本件減額要請を上回る部分があるとしても,本件取引終了後相手方が中国企業に製造を委託するまでの間の応急のものであることを前提とする取引であったことを考慮するならば,相手方が抗告人に提示した本件減額要請に係る取引条件が他の業者との取引条件との比較で不当に不利益な条件を設定するものであることの疎明は不十分であるといわざるを得ない。
そして,前記認定のとおり,相手方から抗告人に対し,平成20年末には,賃率を1時間当たり2400円から1600円に下げることが可能かどうかにつき検討が依頼され,平成21年4月まで数度にわたる交渉が行われた上,最終的に6か月間の猶予期間をおいて本件取引拒絶に至ったこと,相手方は,抗告人に対し,本件取引拒絶に際し,その金銭補償として1500万円を提示し,これを支払ったこと,この間の交渉において,相手方から抗告人に対し,相手方が計測機器の製造を中国へ移管することを検討しており,これを踏まえた減額要請であることが説明され,抗告人自身も,製造業者として,製造単価水準によってはコストダウンのため中国等海外への製造部門の移転が必要となり得ることは認識し得たものと推認されることに照らすと,相手方の抗告人との協議が不誠実であったとか,不十分であったことの疎明も不十分である。
したがって,本件減額要請が,相手方の取引上の地位が抗告人に優越していることを利用して,正常な商慣習に照らして不当に取引の条件を設定したものともいえず,旧一般指定14項,独占禁止法2条9項5号ハに定める違反行為に該当する旨の抗告人の疎明はない。」

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